引導の脚本日誌

現在シナリオ勉強中!の引導のシナリオを掲載していきます

12/16習作  『首ナシ写真と夜の電車』

課題『写真
枚数:8枚
 
目標
シャレードを上手く使う
 
『首ナシ写真と夜の電車』
 

 

 『首ナシ写真と夜の電車』

 

人物
黒川ナツミ(24)OL
波多野シンイチ(23)その恋人
結月まゆ(24)ナツミの高校時代の親友
 
中村アキヒロ(27)電車の乗客
児玉トオル(22)同
 
駅員
 
◯黒川家・外観(夜)
 木造の一戸建て。
 
◯同・ナツミの自室(夜)
 波多野シンイチ(23)がカーペットにあぐらをかいて、
 アルバムを見ている。
 ページを順にめくっていくと、幼稚園児のナツミ、
 小学校の入学式のナツミの写真がでてきて、波多野はにやける。
 高校時代の写真になって、文化祭や体育祭の写真を見る。
 さらにページをめくると、女子生徒の顔の部分が正方形に切り取られている写真を見つける。
 ギョッとする波多野。
 顔の切り取られた写真は何枚もあり、ナツミとのツーショットの写真が多い。
 お盆に2つのマグカップをのせて、黒川ナツミ(24)が部屋に入ってくる。
 固まる波多野、目を見開くナツミ。
 
波多野「……ゴメン」
ナツミ「その子、まゆって言うんだ。私の高校時代の親友。今でも許せてない……」
 
 神妙そうなナツミの表情。
 
◯オフィス・内(夜)
 オフィスデスクでPCと向かい合ったまま、背伸びをするナツミ。
 ナツミのデスク周り以外は消灯されている。
 壁の時計は0時をまわっている。
 
◯駅・改札(夜)
 スイカでタッチして改札を通るナツミ。
 
◯同・ホーム(夜
 発車する電車。
 
◯電車・内(夜)
  座席に座って、外の景色を見るナツミ。
  同車両には他の乗客はいない。
  電車が駅に停車して、中村アキヒロ(27)と児玉トオル(22)が乗車してくる。
  二人に両肩を担がれている結月まゆ(24)が、ナツミの正面に座らされる。
  まゆの顔は真っ赤で、目をつぶったまま、首をユラユラさせている。
  まゆの両脇に中村と児玉は腰かけ、
 
児玉「ビックリしましたよ。いきなりこんな夜中にオンナ運ぶの手伝え、ですもん」
中村「オイシイ思いできるんだ。感謝しろ」
児玉「こいつどこで拾ったんですか?」
中村「駅前でつぶれてた名前も知らない女」
 
児玉「マジっすか。起きたらヤバイんじゃ?」
中村「こんだけ酒入ってりゃ平気平気。あと家によ、知り合いのカメラマン呼んであるから」
児玉「マージっすか。用意いいっすね」
中村「まあな。初めてじゃねーし」
 
  うつむいて震えるナツミ。
  席を立とうとして、まゆの顔を見る。
 
ナツミの心の声「まゆ!? なんで……」
 
  席を立ち上がり、隣の車両に移動するナツミ。
  中村と児玉の声が遠ざかる。
  席に座り、頭を抱えるナツミ。
  電車が駅に到着する。
  電車の扉の向こうに、まゆを担いだ中村と児玉の姿が見える。
  電車の扉が閉まるときの予報音。
  顔面蒼白のナツミ。
  プシューと扉が閉まる音。
  閉まりかけるドアに体を挟みつつ、ホームに飛び降りるナツミ。
 
ナツミ「(大声で)助けて! この人たち痴漢です! だれか捕まえてください!」
 
  ギョッとした児玉はまゆを放棄して逃げ、中村はナツミを睨み、舌打ちして逃げる。
  まゆに駆け寄る駅員。
 
駅員「(ナツミに)この人と知り合いですか?」
 
ナツミ「……友達です」
 
 ナツミ、泣きそうな表情。
 
/了
 

 

ということで、"写真"から視聴者に『なにかを察してもらう』話を書きました。
 
首なし写真から、ナツミのまゆに対する複雑な心境を
(何も説明せずに)察してもらおう、という目論見で書きました。
 
習作ではオチをつけるな、というのが先生のお言葉でして、
オチをつけるのは簡単だ、それよりヒキを作って終われ、と言われるのですが、
なかなか難しいものがあります。
(※今作はオチをつけたつもり)
 
2015/12/20 引導