引導の脚本日誌

現在シナリオ勉強中!の引導のシナリオを掲載していきます

1/12習作 『悪魔の弾丸』

課題『兄弟姉妹

枚数:9枚

 

目標

・離れられない兄弟だからこその葛藤

 

 

 

悪魔の弾丸

 

人物
高城舜(17)高校生
吉田里美(17)舜の恋人
平野ちゆり(24)舜の兄の妻

 


○高城家・外観

○高城家・舜の私室
 カーペットの上に制服姿の吉田里美(17)と
 学ラン姿の高城舜が向かい合って正座している。
 物憂げな表情でクッションを抱きしめている里美。

 

高城「それで、大事な話って? まさか別れ話じゃないよね?」

里美「ちがうの……。その……」

高城「大丈夫? 顔色わるいよ? 話は気分が落ち着いてからでも……」

里美「……できちゃったの。赤ちゃん、妊娠しちゃった」

 

 神妙そうにお腹まわりをなでる里美。

 

高城「え、ええっ!? ちょ、ちょっと待って! その、ぼくたちってしてない、よね……?」

里美「うん……」

高城「じゃ、じゃあ誰の……?」

里美「舜くんのお兄さん」

高城「ハア!? いつ!?」

里美「3ヶ月前に舜くんの家に遊びにきたとき乱暴されて、無理やり……」

 

 里美の目に浮かぶ涙。

 

高城「なんでその時すぐに言わなかったんだ!」

里美「だって言えないよ、そんな……」

 

 ポロポロと涙をこぼし、高城の腕をつかむ里美。
 頭を抱える高城。

 

里美「どうしよう、舜くん、どうしよう……」

高城「親には言った?」

里美「まだ誰にも言ってない。舜くんだけ」

 

 黙りこんで携帯電話を操作する舜。

 

里美「何してるの……?」

高城「兄貴に電話」

 

 一定のリズムでテーブルを指でたたく高城。

 

高城「くそっ、出ない。……ちょっと今から兄貴のアパート行って話つけてくる」

里美「……じゃあ、待ってる」

舜「大丈夫。ぼくを信じて。里美のこと、絶対見捨てないから」

 

 里美を抱きしめ、部屋を飛び出す高木。


アパート・玄関前

 アパートの一室の前に立っている高城。

 

ちゆりの声「(インターホンごしに)はぁい」

 

 マタニティウェアを着た平野ちゆり(24)がサンダルで玄関ドアをあける。

 

ちゆり「あらぁ舜くん、いらっしゃい」

高城「兄貴、今日仕事休みですよね?」

ちゆり「それがねえ、朝からどこか一人で遊びに行っちゃったのよ。勝手な人よねえ。
 ちょうど暇してたの、さ、入って入って」

高城「ちゆり義姉さん、オレ……」

ちゆり「いいからいいから。入った入った」

 

 ちゆりに手を引かれ、リビングのソファに強引に座らされる高城。

 

ちゆり「(ニコニコして)だいぶ大きくなったでしょ。6ヶ月なんだよ。さわってみて」

 

 ちゆりに手を握られ、されるがままに誘導され、腹を撫でさせられる高城。
 高城は泣きそうなのをこらえる表情。

 

高城「オレ、義姉さんには幸せになってほしい」

ちゆり「私のことより、この前の約束ちゃんと覚えてる? 例の彼女サン、うちにつれてきてくれるって約束」

 

 高城の懐の携帯電話が鳴る。
 着信相手を確認して、ちゆりを見る。

 

ちゆり「もしかして彼女サン? どうぞ」

高城「もしもし里美か? どうした?」

 

 ちゆりは微笑んでキッチンへ姿を消す。

 

里美の声「舜くん! どうしよう。お腹が痛いの。急に下から血がいっぱいでて……!
 どうしよう。早く戻ってきて、舜くん!」

 

 部屋の本棚が揺れて、高城がよろめく。
 テレビには地震速報のテロップ
 キッチンから棚が倒れたようなけたたましい音がして、
 高城は目をむく。
 泡を食ってキッチンに向かう高城。
 食器棚が倒れて、ちゆりが下敷きになっている。
 ちゆりの腹の下から、おびただしい量の血と透明な液体が広がっている。
 ちゆりはピクリとも動かない。
 高城はよろめいて、壁に手をつく。

 

高城「ウソだろ……」

里美の声「ねえどうしたの? 舜くん。返事してよ!」

高城「うるせええ!」

 

 高城、携帯を壁に投げつける。
 粉々になる携帯。
 部屋には高城のすすり泣きが響く。

 

/了

 

 

 

どうも、引導です。

手抜きではないですが、もう少し煮詰めてかけたな、

と思っています。

今回やろうとしたことは、散々言われてきた『オチをつけない』 。

という部分。
正確にはオチをつけず、ヒキで終われ、ということなんですが。
 
やりたかったのは、
実は主人公の舜くんは彼女より、兄貴の奥さんを好きだった、というような
ことを匂わせる、みたいな感じなんですが、なかなか難しかった。
 
幸せに妊娠している兄の嫁と、兄に乱暴され妊娠してしまった主人公の彼女、
という対比とか。
兄嫁が、主人公の彼女に会う約束を待ち望んでるとことか、
なんというか、イジワルな話が書きたかったのです。
 
物語の主人公はマゾであるべきで、
とにかく悲惨な方向へと話を持っていくことばかりに注力してました。
 
2016/1/12 引導