引導の脚本日誌

現在シナリオ勉強中!の引導のシナリオを掲載していきます

3/29習作『花よりつぼみ』

課題『片想い

枚数:20枚

 

目安

・柱の数は10個くらい(多すぎると×)

・"カセ"

・片想い(ストーカー)、せつなさ

・なぜ片思いになるのか?

 

 

花よりつぼみ

人物

春馬和也(20)大学生
島田瑞穂(18)春馬の恋人
島田小夜(16)瑞穂の妹
店員
係員


◯喫茶店・全景
 個人経営のこじんまりとした喫茶店。
 2階建ての1階が喫茶店。

◯同内
 ドアベルの音がして、大学生風の春馬和也(20)が入店してくる。
 手提げの透明ケースに専門書の教科書とルーズリーフ。
 店員が案内にやってきて、
店員「喫煙席と禁煙席、どちらになさいますか?」
春馬「禁煙席で」
店員「かしこまりました。こちらにどうぞ」
 店員に続いて、店奥に案内される春馬。
 店内の離れた場所で客の注文をとっている島田小夜(16)、春馬の姿を見つけて駆け寄ってくる。
小夜「あ、サキちゃん。この人はいいから、あっちのお客様の注文とってあげて」
店員「(困惑して)えっ? ハア……?」
小夜「春馬さんはね、お姉ちゃんの(小指を立てて)これなの」
店員「(クールな表情が急に子供っぽくなって)」
 微笑んで会釈して去っていく店員。
春馬「(なんだかなあという表情)」
小夜「(ご機嫌に)いつもの特等席にどうぞ」
 小夜に案内される春馬。
 他のテーブルから離れている、観葉植物でガードされたテーブルにやってくる。
小夜「それじゃお姉ちゃん呼んできますね。たぶん自分の部屋で勉強してると思いますから」
春馬「ねえ、小夜ちゃん。髪きった?」
小夜「分かりますう? 昨日、お姉ちゃんと一緒に美容院行ってきたんですよー。学校で男子、だれも気づかなくてホントやんなっちゃいます」
春馬「よく似合ってるよ」
小夜「ありがとうございます。お姉ちゃん呼んできますね」
 立ち去る小夜。
 ため息をつく春馬。

◯同内・瑞穂の部屋
 島田瑞穂(18)が机に向かって黙々と勉強している。
 学校指定の着古したジャージに、ダサいメガネ。髪は乱暴に頭の後ろで1括りに束ねてある。
小夜の声「お姉ちゃーん」
瑞穂「なあに? 今日は私手伝い、非番でしょー?」
小夜の声「春馬さん来てるよー」
瑞穂「(机から立ち上がり)ハア!? す、すぐ行くー!」
 クローゼットをあける瑞穂。
 服を何着か取りだして、交互に見比べて首をかしげてうなる。

◯喫茶店
 テーブルで勉強している春馬。
 テーブルのコップには大量の水滴。
 駆け足気味に瑞穂がやってくる。
 瑞穂は髪を下ろし、裸眼。
 ノースリーブの清楚なワンピース。
瑞穂「(はにかんで)ごめん、お待たせ」
 春馬の向かいに静かに座る瑞穂。
 瑞穂、髪をかきあげたり、肩をゆらしたり落ち着きがない。
春馬「……シャワー浴びてたの?」
瑞穂「え? うん。タイミングが悪いんだから。うちに来るなら、先に教えてよね。こっちにも用意とかいろいろあるし……(上目遣い気味に)」
春馬「今日はそういうつもりじゃなかったからさ」
瑞穂「(真顔で顔を上げる)」
春馬「課題のレポートをやりにきたんだ」
瑞穂「(悲しそうな顔)」
春馬「そっちも勉強してたんだろ? 邪魔して悪かったね」
瑞穂「じゃ、じゃあ私も一緒にやろうかな。分からないとこあったら教えてもらえるし」
  ×   ×   ×
 向かい合って勉強する春馬と瑞穂。
 真剣な表情で教科書を書き写す春馬。
 ボーっとしながら春馬の表情をチラチラと見ている瑞穂。
 瑞穂のノートのページは真っ白のまま。
 鼻息でため息をつく瑞穂。
瑞穂「(緊張して)あ、あのさ、和也ってどんな髪型が好き?」
春馬「……髪型って女性の?」
瑞穂「(髪をいじながら)うん、そう」
春馬「そうだなあ(観葉植物から顔をだし、フロアを眺めて)」
 ドリンクのお盆を持って、フロアを移動する小夜の横顔を目に留める。
春馬「小夜ちゃんくらいの長さが好きかな」
瑞穂「(表情を暗くして)……そうなんだ。私も髪のばしてみようかな」
 小夜がお盆にパフェをのせてやってくる。
小夜「お待たせしました。ご注文のDXパフェです」
 スプーンが2本ささった巨大なパフェ。
春馬「注文してないけど」
小夜「いやあ、オーダーミスっちゃって余らしちゃったところを、春馬さんが目で合図くれるから持ってきちゃいました。2人でお楽しみください」
 瑞穂にウインクする小夜。
 笑顔がほころぶ瑞穂。
 瑞穂、パフェをスプーンですくって春馬に差しだし、
瑞穂「じゃ、じゃあ和也。はい、あーん」
春馬「恥ずかしくてできるか」
小夜「もう、春馬さん。ノリ悪いですよう」
 春馬、しぶしぶと言った感じでスプーンをくわえる。
 瑞穂と小夜、アイコンタクトをして満ち足りた雰囲気。
小夜「あれ? 2人とも勉強してるんですか? てっきり週末のデートの予定を相談してると思ったのに」
瑞穂「そ、そうね。この際だから、今決めちゃいましょう」
小夜「あーあ。私もワンダーパーク行きたかったなあ。私が集めてるゆるキャラのコラボイベントがちょうど今、やってるんですよねえー」
春馬「なら買ってきてあげるよ」
小夜「ホントですかあー。男女ペアでイベントに参加するともらえるハンドタオルが欲しくてー」
瑞穂「(ニヤけて)仕方ないわね。行ってきてあげるわよ」
小夜「(瑞穂に抱きつき)わーい。ありがとう、お姉ちゃん大好き!」
瑞穂「もう、大げさねえ」

◯瑞穂の部屋(夜)
 ベッドで寝息を立てる瑞穂。
 頬は赤く、おでこに熱冷まシート。
 ベッド側のちゃぶ台にはポカリスエット
 小夜、壁のカレンダーを見ながら電話している。
 カレンダーの日曜日の部分に花丸が打ってある。
小夜「ごめんなさい、春馬さん。お姉ちゃん、インフルうつされちゃったみたいで、明日はやっぱり無理みたいです」
春馬の声「小夜ちゃんが謝ることじゃないよ」
小夜「でも、招待券の期限、今週末までですよね? 無駄にさせちゃって……」
春馬の声「小夜ちゃんの欲しがってたコラボのやつも今週末までだよね?」
小夜「……残念ですけど、仕方ないです」
春馬の声「……あのさ、もしよかったら、おれと小夜ちゃんで行かない?」
小夜「(ベッドの瑞穂を見て)……えっ、ダメですよ。お姉ちゃんに悪いです」
春馬の声「このままじゃ招待券が無駄になっちゃうしさ、今度、瑞穂と行くときの予行演習になるかなって」
小夜「ダメです。お姉ちゃん、独占欲つよいですから、私が春馬さんと2人で遊びに行ったなんて聞いたら、めちゃくちゃヘソ曲げちゃいますよ。予行演習は1人で行ってください」

◯春馬の家・春馬の部屋(夜)
 部屋をうろうろしながら電話する春馬。
春馬「でもおれ1人で行っても、小夜ちゃんが欲しがってたコラボのやつ、もらえないよ? 男女ペア限定だったよね?」
小夜の声「……お姉ちゃんには絶対内緒にしてくださいね」
 力強くガッツポーズする春馬。


◯遊園地ワンダーパーク内・道
 大量のキャラグッズを抱え、大満足の小夜。
 隣の春馬がデジカメを構えて、
春馬「ほら笑って」
小夜「(困ったように笑って)えー。なんで私の写真とるんですか?」
春馬「いいから」
 デジカメで撮った写真を確認する春馬。
 パーク内で撮った小夜の写真が大量。
春馬「そこに観覧車あったからちょっと休憩しよう」


◯同内・観覧車乗り場
 観覧車の列に並ぶ春馬と小夜。
 前に並んでいるカップルがキスをする。
小夜「(茶化すように)春馬さんは、お姉ちゃんとどこまでいったんですか?」
春馬「(大人っぽく笑い)……小夜ちゃんは今カレシとかいないの?」
 真剣な表情で小夜を見つめる春馬。
小夜「(目をそらして)え? あはは……」
 観覧車の順番がやってくる。
 係員が手でよびこんで、
係員「次の方どうぞ」
 さりげなく小夜の手を握ろうとする春馬。
 払いのける小夜、悲しい顔。
小夜「お姉ちゃんには言いませんから!」
 その場を走り去る小夜の目には涙。
 まゆにしわを寄せ、ため息をつく春馬。

/了

 

これが(ひとまず)最終課題です。

コンクール用の原稿を書いていたせいで課題がたまっており、

一度に3つのシナリオ(脚色・サラリーマン・片想い)を書くことになってしまいました。

1日で3本かいたので、多少手は抜いたのですが(設定面が特に)、

そのなかでもこの片想いはそれなりによくできている(と自分では思っている)ので、

流用するなり何かするかもしれません。

 

3/29 引導