引導の脚本日誌

現在シナリオ勉強中!の引導のシナリオを掲載していきます

5/18習作『甥コンプレックス』

甥コンプレックス
 
課題:魅力ある女
目的:感情移入できる
 

 

 
人物
藤原美奈(26)中学校教師
片瀬優樹(14)その生徒
柳沢拓海(14)片瀬のクラスメート
後島広光(14)片瀬のクラスメート
柴田彩里(14)片瀬のクラスメート
片瀬詩穂(39)片瀬の母
 
◯マンション・外観(夜)
 10階立てのマンション。
 
◯同内・美奈の部屋(夜)
 OLの一人暮らし、と言った感じの小奇麗な部屋。
 本棚には何冊もの英語の教科書と、教師の心得、と言ったタイトルの本。
 顔に美容パックをしている藤原美奈(26)が下着姿でテストの丸つけをしている。
 慣れた手つきで赤ペンを走らせて、丸とペケをつける美奈。
 氏名『片瀬優樹』の答案の番になって、
 美奈の手が止まる。
美奈「(パックごしの表情がひきしまって)」
 先ほどまでとはうってかわって、慎重に1つずつ丸をつけていく美奈。
 美奈の手が止まり、解答欄を1つ飛ばして、丸をつけ続ける。
 美奈がフウとため息をつく。
 片瀬優樹の答案はすべて丸。ただし、何箇所か丸もペケもついてない部分がある。
 ペンケースから消しゴムを取りだす美奈、片瀬の解答を消し、別の答えに書き換える。
 
◯××中学校・外観
 公立の中学校。
 
◯同内・教室
 2年B組の表札。
 教卓に美奈が立って、生徒にテストの返却をしている。
美奈「次、片瀬くん」
 片瀬優樹(14)が立ち上がり、美奈の前にやってくる。
美奈「よく頑張りました」
 美奈から答案を受けとり、席に戻ろうとする片瀬。
 戻る途中で柳沢拓海(14)に腕を引っぱられ、テストをのぞき見される。
柳沢「(大声で)おい、片瀬。また百点かよ。お前、英語だけはいっつも満点だよなあ」
 恥ずかしそうに笑う片瀬。
美奈「柳沢君、静かにしなさい。授業中ですよ。後島くん」
 後島広光(14)が席を立ち、美奈からテストを受けとる。
 答案を見つめて渋い顔の後島。
  柳沢が後島のテストをのぞき見て、
柳沢「(バカにする調子で)学年トップの後 島も英語だけは片瀬にかなわねえか」
 ムッとする後島。
 ざわめく教室内。
美奈「コラ、柳沢! 人の点数ばっか見てないで、 自分の点数を心配しなさい」
柳沢「(お茶らけた様子で)へーい」
 うつむきがちに席に戻る後島。
 席に着くなり、テストの答案を強く握りしめる。点数は96点。
 
◯片瀬家・外観(夜)
 庭つきの一戸建て。
 
◯同内・ダイニングキッチン(夜)
 キッチンでポテトサラダのボウルをかき混ぜている片瀬詩穂(39)。
 ピンポーンとチャイム音が鳴る。
詩穂「(部屋奥に呼びかけ)ユウキー。ミナ ちゃんだから出て」
 テレビの前でアクションゲームをやっている片瀬、テレビから目を離さず、
片瀬「いまセーブできないから無理ー」
 詩穂、ため息をついて出て行く。
       ×   ×   ×
 詩穂に先導され、やってくる美奈。
美奈「(匂いをかぎ)今日は姉さん特製のチキンカレー」
詩穂「ミナちゃんの好きなポテトサラダもあるわよ」
美奈「やった。姉さん大好き」
   美奈がテレビの方を見ると、ゲームに没頭する片瀬の背中。
      美奈、片瀬を後ろからハグして、
美奈「お姉ちゃんが来たんだから、挨拶くらいしたらどう?」
片瀬「(ウザがって)夕メシをたかりにきたんだろババア。ゲームの邪魔すんなよ」
 美奈、笑顔をひきつらせ、
美奈「おかしいなあ、学校では素直なのに」
片瀬「オレ、学校とプライベートは分ける主義なの。分かった、オバさん?」
美奈「そんなツレないこと言うと、次のテストの点、0点にしちゃおうかなあ」
 片瀬の体をゆする美奈。
 無視してゲームに集中する片瀬。
美奈「ねえ、対戦しよう?」
片瀬「これ対戦ないから」
美奈「じゃあ2Pやらせて?」
片瀬「姉ちゃんはゲーム下手くそなんだから、黙って見ててよ」
 美奈、不満そうに立ち上がってキッチンへ。
美奈「姉さん、なんか手伝おうか?」
詩穂「それじゃ3人分のお皿用意して」
       ×   ×   ×
 食卓で食事をしている3人。
詩穂「最近、学校の優樹、どう?」
片瀬「それ本人の前で聞く?」
美奈「私の授業は真面目に聞いてるよ。テス トの点数もいいし」
片瀬「そうだ、母さん。英語のテスト、また 満点だったんだよ。約束どおりお小遣い上 げてよ」
詩穂「分かったわよ。約束だもんね」
片瀬「よっしゃー!」
 喜ぶ片瀬を見て、満足げな美奈。
詩穂「ミナちゃん、次のテストはうんと難し くしてあげてね」
片瀬「余計なこと言わないでよ、母さん」
 微笑む美奈。
       ×   ×   ×
 片づけられた食卓でコーヒーを飲む美   奈と詩穂。
 片瀬はテレビゲームに夢中。
詩穂「学校でユウキを贔屓したりしてない?」
美奈「するわけないじゃん。教師だよ?」
詩穂「あなた、昔からユウキにベッタリだったから」
 詩穂、アルバムをひらく。
 小学生くらいの片瀬と、大学生くらいの美奈がじゃれついてる写真。
詩穂「最近、かまってもらえなくて寂しいんじゃない?」
美奈「別に」
詩穂「いい人、いないの?」
美奈「(幼少時の片瀬の写真を見て、目を細める)」
 
◯××中学校・廊下(夕)
 窓から見える夕日。
 グラウンドでは野球部員たちが練習をしている。
 廊下を歩く美奈。
 2年B組の教室の扉をあける。
 
◯同内・2年B組教室(夕)
 美奈が扉をあけると、片瀬と柴田彩里(14)がキスしている。
 反射的に扉を閉める美奈。
美奈「(驚きの表情のまま固まる)……」
 来た道を早歩きで戻る美奈、困惑の表情。
 
◯マンション・美奈の部屋(夜)
 テストの丸つけをしている美奈。
 片瀬優樹のテストの答案を見て、赤ペンを持ったまま、考え事をしているような表情。
 答案にペケをつける。
 
◯××中学校・2年B組
 教卓の前で美奈がテストを返却している。
 席で片瀬が答案を見つめている。
 テストを受けとった後島が横目で片瀬のテストを盗み見て、ニヤける。
 柳沢が片瀬の肩に手を置いて、
柳沢「とうとう連勝記録も打ち止めだな」
 片瀬のテストの点数は82点。
 
◯マンション・美奈の部屋(夜)
 ドラマを観ている美奈。
 玄関のチャイムが鳴る。
 
◯同・玄関(夜)
 美奈がドアを開けると、片瀬が立っている。
美奈「(驚いて)どうしたの?」
片瀬「どうして百点にしなかった?」
美奈「えっ? 何のこと?」
片瀬「いつもオレのテストを勝手に書き換えて百点にしてくれてたよな? どうしてやめた?」
美奈「(困ったように笑って)え? なんのこと?」
片瀬「とぼけんなよ。書き換えられて、気づ かないと思ったかよ?」
美奈「(顔を伏せて唇を噛む)」
片瀬「別にそのことを責める気はないから、 これからも続けてよ。いいでしょ?」
美奈「……」
片瀬「じゃないと、学校にチクるから。それ じゃ。おやすみ、オバさん」
 立ち去る片瀬。
 その場に立ち尽くす美奈。
 美奈の頬を涙が伝う。
 
/了
 
 
 
この作品は先生いわく『今までのぼくの作品のなかでダントツにおもしろい。よくできている』作品ということです。
でも、ぼくは駄作だと感じていました。
 
ぼくが駄作だと感じている根拠
・登場人物を無駄にふやしてしまった
 →面倒だったので説明のためのキャラクターをつくった!
 1クラスメートのお調子者柳沢
 2片瀬志穂(お母さん) など
・つまらないシーンがある
 →主人公家で夕食をとるシーンは説明しかしてない!つまらん!
・キスのシーンが唐突!
 正直てきとうに書いたんだけど、起承転結の"転"として評判がいい
 →毎回思うんだけど、なんで唐突なシーンは許されるのか?
 伏線がない唐突なシーンってありなの?
 ぼくはキスのシーンの前に仲いい女子生徒がいる、みたいな説明がいると思う。
 
だが、このシナリオのトップシーンは募金箱のやつと同じくらい好きだ。
個人的にもよくできてると思う。
でもそれ以外が雑だ!
 
先生の評価
なぜこのシナリオがよくできたのか?
それは常にシナリオが、主人公の美奈の心情から離れないところ。
起承転結がしっかりしている。
美奈が甥の片瀬優樹くんを口で好きだとは絶対にいわない。
すべて行動で表現されている。
(嫌いになったときテストの点数を下げることも含めて、好感度がすべて行動が示されている!)
 
…たしかに、ぼくのシナリオはいつも主人公の感情から離れて物語が動くことが多いので、先生の言うとおりかもしれない。
 
2016/5/18引導
 
蛇足:
同級生からの意見
・シスコン、ブラコンはあっても甥コンは珍しいと思った
・最後のシーンは、美奈はこんな女なのに、ただ悔しがるだけじゃなくてもっと違う行動するんじゃないか?(女性意見)