2/24習作 『JKゆびさきシャーベット』
課題『ラブシーン』
枚数:18枚
課題の目的:
キスやハグだけがラブシーンじゃない!
斬新なラブシーンを!
(ラブシーンは一番ハードルが高い)
『JKゆびさきシャーベット』
人物藍原知紀(20)家庭教師一条叶絵(18)その教え子おばさん◯マンション・外観◯マンション・藍原の部屋ニット帽をかぶり、コート、マフラー、マスクを着用の藍原知紀(20)が携帯電話を耳にあて部屋をうろうろしている。藍原「……はい、本当にすみません。本番直前だというのに、僕がこんなザマで……。叶絵さんは模試でA判定ですし、心配いらないとは思いますが……。本番でいつも通りの力がだせるよう、自信をもつようにとお母さんのほうからも言ってあげてください。……はい。それでは」壁のカレンダーの2月18日のマス目にペンで×をつける藍原。2月19日のマス目には、『叶絵、聖女入試』と書かれている。藍原、軽くセキ払いをして、コップに水道水をくみ、飲む。テーブルには風邪薬の小ビンと500mlのポカリのペットボトルが置いてある。フラフラと布団にもぐりこむ藍原。枕元には大量のフセンが貼ってある『聖礼女学院』の赤本。かけ布団を頭までかぶる藍原。ごそごそと動く布団の凹凸。動かなくなる布団。◯マンション・藍原の部屋(夕)うす暗い部屋で壁の時計が秒針を刻む。布団の側にカラのポカリのペットボトルが2本転がっている。枕元の携帯の着信音が鳴り、バイブする。布団にくるまってピクリとも動かない藍原。鳴り続ける携帯の着信音。◯一条家・外観(夕)携帯の呼び出し音。◯一条家・リビング(夕)制服姿で耳に携帯をあてている一条叶絵(18)、目を細め、口を一文字に結ぶ。叶絵「……」深刻そうな顔で通話を切る叶絵。叶絵、キッチンに向かって、叶絵「お母さーん。年賀状、どこにしまったっけー?」◯藍原のマンション・外観(夕)◯マンション・廊下(夕)エレベーターが到着し、スクールバッグを肩に提げる叶絵が出てくる。キョロキョロしながら扉の部屋番号を見て、廊下を奥に進む叶絵。『612号室 藍原』のプレートの扉の前で立ち止まる叶絵、ニヤリとして、インターホンに手をのばす。◯マンション・藍原の部屋(夕)うす暗い部屋でインターホンが鳴り、目をこすりながら布団から起きる藍原。フラフラと立ち上がって玄関へ。藍原「(ドアをあけて)はーい……」◯マンション・廊下(夕)ドアをあける藍原。ドアの前に腕組している叶絵が立っている。ギョッとしてむせる藍原。藍原「おまえ、どうして家知ってる……?」叶絵「年賀状と地図アプリあれば楽勝」『目的地に到着しました』のスマフォの画面を得意げに見せる叶絵。藍原「現代っ子、あなどれんな……」頭をかく藍原。藍原「……それで、何の用だ?」叶絵「心配して見にきてあげたに決まってるじゃん」藍原「明日、入試本番の人間にそんな余裕ないはずだがな」叶絵「ねえ、部屋にいれてよ」叶絵の前に立ちふさがる藍原。藍原「あのな、風邪がうつったらどうするんだ? 絶対ダメだ」叶絵「平気だって。ほら、この時間、いつもならカテキョの時間じゃん? 今日は先生の部屋でってことで」藍原「ダメです」叶絵「(睨んで)給料ドロボー。職務怠慢」藍原「頼むから今日は帰ってくれ……」2つ隣の610号室の扉があき、買い物袋を持つおばさんが出てくる。おばさんと視線が合う叶絵。叶絵「……入れてくんないなら、お母さんに先生と付き合ってるってバラすよ?」おばさんが藍原を見て、足早に立ち去る。藍原「あのなあ……」スマフォを耳にあてる叶絵。叶絵「……もしもし、お母さん?」叶絵の腕をつかむ藍原。藍原「あーもう、分かった分かった。おれの部屋が見てみたいんだな? すぐ帰れよ?」藍原、玄関ドアを大きく開く。勝ちほこる表情の叶絵に、ため息をつく藍原。◯マンション・藍原の部屋(夕)叶絵、部屋の中央に立って、興味深そうに部屋中を見回す。不満げな表情の藍原、叶絵の背後に腕組して立っている。藍原「ほら、見たな? これで満足したろ。今日はもう帰れ。お前がテストに自信あるのは知ってるけど、風邪をひいたら、元も子もないだろ?」叶絵「風邪ひいたって受かる自信あるよ。試してみる?」藍原「(カッとなって)いい加減にしろ! 入試は遊びじゃないんだぞ!」叶絵「そんなマジになって怒らなくたっていいじゃん! せっかく来たんだよ?」藍原「おれは現役のとき、腹痛で集中できなかった。お前にそんな思いさせたくない」叶絵「でも、先生が倒れたって聞いて心配で……」藍原「おれのことは気にするな。今日は自分のことだけを考えろ。おれはこの通り、大丈夫だから今日はもう帰ってくれ」叶絵「ヤダ。帰らない」藍原「お母さんが心配する前に帰ったほうがいい」叶絵、感情的になって、叶絵「帰れ帰れってさっきからヒドくない? 風邪ひいたの私のせいじゃないじゃん!」怯む藍原。叶絵「カテキョのくせに、教え子の入試前に風邪で休むとかありえなくない? こっちはそのつもりでいたのに、急に休むなんて反則……」叶絵、鼻を赤くしてすすり泣く。戸惑いながら、叶絵の肩を抱く藍原。藍原「気づいてやれなくてごめんな」震える叶絵の肩をだきよせる藍原。× × ×エプロン姿で台所に立つ叶絵、皿を洗っている。コンロにおかゆが半分残った土鍋。叶絵「残りは明日の朝にでもたべて」藍原が布団から上半身起こし、藍原「洗いものはいいから」叶絵「(楽しそうに)病人は寝てなって」蛇口をひねって水を止める叶絵。藍原の元に歩いてきて、屈む。叶絵「ジッとしてて」叶絵、藍原の前髪をかきあげ、藍原のおでこに手のひらをくっつける。叶絵「どう? 冷たくて気持ちいいでしょ?」藍原「皿洗うときにお湯つかわなかったのか」叶絵、イタズラっぽく微笑む。藍原の額をふれる手が頬をなでて下り、藍原のあごを両手でサンドイッチする。身じろぎ一つせず、固まる藍原。叶絵「先生がとってもアツいから、手がぬるくなっちゃった」まっすぐに藍原の目を見て満足そうな叶絵に、目をそらしてたじたじな藍原。◯聖礼女学院・大講義室すべての座席が埋まっている教室。テスト用紙に向き合い、一心不乱に鉛筆を走らせる制服姿の女子高生たち。その中に、真剣な表情で問題を解く叶絵の姿。◯聖礼女学院・講堂前受験番号が貼りだされている掲示板の前に集合している生徒と、その親御たち。掲示板の数字を不安な表情で追う叶絵。隣には手をつないでいる藍原。満面の笑みで叶絵が藍原にとびつく。/了
苦労して何回か書き直した作品。
1個前のサビぬきと同じかそれ以上に書き直しました。
ラブシーンの題材選びというのは難しくて、
そこでまず難航しましたが、キスやハグやエッチというような短絡的なものは避けたいと悩みました。
そこで初稿のときに書いたのは『マスクごしのキス』ということで、
設定とかは今と同じなんですが、
まあつまり『受験前日の女子高生の家庭教師が風邪で欠席し、女子高生が受験前の"おまじない"としてキスをせがみにやってくるが、風邪でキスしたらうつると拒否する先生に、マスクごしの強引にキスをする女子高生』という話でしたが、
キスするのは純愛じゃないなあ…(ぼくの定義ではハグまで)
とかいって思って、冷たい手でギューっとやる話に変えました。
今回は場面の切り替えのシーンをかなり力をいれて書いていて、
場面転換に関しては、割とそれっぽくかけてると思います。
あとは、上手く伝えられてるか分からないですが、
初稿時には看病イベントでおかゆを食べさせてもらうシーンがあったんですが、それを全カットして、おかゆを食べ終わったシーンから始めたんですが、これは読み取れるのかな?
少しト書きが足りなかったのかなと反省している部分でもあるのですが、
手が冷たい必然性が欲しかったので、洗いものをさせることにしました。
この大胆なカットはけっこう好きなんですよ。
そんな感じで。
2015/2/24引導